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薬に頼らないうつ病治療とは?精神科医が解説

うつ病は精神的な苦痛や日常生活への機能障害を引き起こす重篤な疾患であり、その治療には様々なアプローチが存在します。

一般的に抗うつ薬が主流とされますが、副作用や、中断時の離脱症状(中断症候群)などの短所もあります。

また、薬が十分に効かず、治療が長期化・難航している方や、強い副作用に悩まされ、あるいは耐え切れず治療を中断してしまう方も少なくありません。

今回は抗うつ剤が効かない方、抗うつ剤の副作用に苦しんでいる方のために、薬に代わる有用な選択肢となり得る治療についてご紹介していきます。

治療① 十分な休養と休息

十分な休養と休息は身体面および心理面の体調回復を促すために欠かせないものです。

うつ病の方の多くは休むことに罪悪感を感じ、無理をしてしまう傾向があります。

しかし、休息の不足は症状の悪化、治療効果の低下に繋がることもあります。

休養・休息を取ることは、身体的な疲労や睡眠障害、精神的なストレスの対処として重要であり、治療の基盤となってきます。

まずは、休養を取ることは悪いことではない、心身の健康にとって必要なことであると感じられるようなサポートが大事になってきます。

ある程度症状が重ければ、会社や学校を休業・休職することも必要となる場合もあります。

治療② 心理療法

心理療法の有用性と種類

心理療法には様々な種類がありますが、共通しているのは「他者と対話することによる治療」ということです。

対話を通じて、自分の感情や思考、行動に対する理解を深めることができ、「ストレスの背景」「情緒的な問題」「人間関係の問題」「問題になっている習慣」「幻聴などの問題」といった内容の解決を目指します。

認知行動療法(CBT)

認知行動療法は、うつ病の治療に広く使用されている心理療法の一つです。

自分の思考パターンや行動パターンを認識し、具体的な問題・症状に対してポジティブな変化を促すことを目指します。

対人関係療法(IPT)

対人関係療法は、他者との関係性を中心に患者の問題を解決しようとする心理療法です。

患者の対人関係のパターンやコミュニケーションスキルを改善し、健全な関係を築く手助けをします。

これにより、孤立感や無力感などの症状が緩和され、社会的なサポートの向上や回復の促進につながります。

治療③ 神経刺激法

抗うつ薬や心理療法で治療の効果がみられない場合、神経刺激法を取る場合があります。

代表的な神経刺激法について紹介します。

反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS療法)

rTMS療法は、場によって引き起こされた電流で脳神経の一部を繰り返し刺激することで、うつ病による抑うつ症状を改善させる治療法です。

特に、抗うつ薬に反応しない中等症以上の患者に有効であるとされています。この療法は安全性が高く、副作用が少ないことが特徴です。

海外では2000年代後半より頻用されていますが、国内では2019年に保険適応に承認された比較的新しい治療法です。

電気けいれん療法(ECT)

電気けいれん療法は、「薬に頼らない治療」と言うよりは症状が長期化している、または重度うつ病に対する治療法です。

自殺の可能性が高い、焦燥感が強いといった症状に対して有効性の高い治療法です。

麻酔薬と筋弛緩剤を投与した後、全身麻酔下で呼吸管理をしながら、頭部に電気刺激を与えます。

通常は、麻酔科医などが常駐する大規模な病院で行われることが多い治療法です。

当院ではrTMS療法の治療法を導入しています!

当院は2024年4月からrTMS療法の治療法を導入しました。

この治療法は、中等症以上のうつ病や再発を防ぐための新たな治療法です。

従来の治療法である抗うつ薬による薬物療法や心理療法に加えて、rTMS療法が患者様にとって治療の選択肢の一つになればと思います。

当院のrTMS治療について

薬以外の選択肢も含めた、適切なアプローチを

うつ病は、日々の生活上のストレスや、それぞれの方が抱える問題が背景にあります。

患者様おひとりおひとりによって、適切な治療方法や効果的なアプローチは異なります。

当院では、それぞれの患者様を取り巻く環境や問題解決のサポートを行いながら治療を行うことで、地域に貢献できる精神科病院として、適切な医療の提供とこころの健康増進に寄与できるよう取り組んでいきたいと考えております。

参考サイト(ここから💛なび) https://cocokara-navi.3esys.jp/p/top